三代目市川猿之助(二代目猿翁)さんから京都芸術大学に寄贈いただいた貴重な歌舞伎関係資料をもとに、三代目猿之助の軌跡をたどるフォーラムの7回目。今回は<人柄>をテーマに、三代目猿之助のお人柄をよく知るお二人のゲストが登壇します。
プログラム
第一部 「心やさしき気くばりの人」 石川耕士(脚本家、演出家)
第二部 「三代目猿之助と私」 市川笑三郎(歌舞伎役者)
公演の最新情報は劇場Webページをご確認ください。
https://k-pac.org/events/6777/
=========================
芸は人なり
近年の歌舞伎の世界は、大幹部クラスの傘下に入らないと役がつきにくい、という風潮がある。その人のことを真に尊敬し、心服して傘下に入るのならばいい。しかし私は、「寄らば大樹の蔭」的な生き方は好まなかった。権力志向だけでゴマをすったりすることを私は潔しとしない。大嫌いである。
1963年、23歳で祖父初代猿翁と父三代目段四郎を相次いで失った三代目猿之助が示した歌舞伎役者としての矜持である。
独立独歩の生き方を選んだ猿之助は、派閥から外れたことで周囲からの風当たりは強くなり、まさに劇界の孤児となった。悲壮感は全くなかったという。それどころか、のちの猿之助歌舞伎の母胎となる自主公演「春秋会」を旗揚げし、自分で芝居づくりをはじめる。藤間勘十郎(勘祖)、観世栄夫、戸部銀作、藤間紫という劇界の理解者を得て公演した舞台は、観客から多くの支持を集めた。
「芸は人なり」という。芸には役者の人格が反映する。芸は役者の人生を写し、生き方をあきらかにする。今回は「人柄」をテーマに猿之助歌舞伎の魅力をひも解いていく。
田口章子(企画/京都芸術大学教授)
=========================
映像担当:京都芸術大学広報課、倉田修次
協力:松竹株式会社、公益社団法人日本俳優協会、株式会社キノシ・オフィス
主催:京都芸術大学舞台芸術研究センター