コラム

2016.8.16 ( Tue )

京都五山の送り火

世間では、「お盆休み」「夏休み」と言われており、
日本全国の多くの大学でも、「一斉休校日」としてこの時期学内を閉鎖している大学も多くあります。

しかし、残念ながら、京都造形芸術大学には、その言葉は明確には存在しません(笑)

通信教育部の皆さんが受講する「スクーリング」も、毎日のように開講されておりますし、
一年生は、「京造ねぶた」の制作準備に、クラス毎に集まってアイディアを練っています。
(ただし、今年から、学生にもメリハリがつくように、「完全休養日」を設けています。夏の間の疲労が、後期に持ち越されてしまうケースも見受けられますので)

ただし、今日に限っては、例年学内を閉鎖し、
大学では「盂蘭盆法要」が行われ、
夜は、在学生や保護者のみなさん、
普段本学がお世話になっているみなさんをお招きしての五山の送り火鑑賞会が行われています。
 

まずは、20時00分に点火されるのが、


大学から最も近くに見える、「大文字」(東山如意ヶ嶽)です。

点灯まもなくの様子です。

そこからしばらくすると……



立ち上る煙も見えるぐらいの大迫力です。

つづいて、20時10分に点火するのが、



「妙」(松ヶ崎西山/万灯籠山)



「法」(松ヶ崎東山/大黒天山)

 

続いて、20時15分に点火するのが、


「船形」(西賀茂船山)

そして、同じく20時15分に、「左大文字」(大北山)、
20時20分に、「鳥居形」(嵯峨鳥居本曼荼羅山)が、点火します。

「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」

で、五山。

京都造形芸術大学からは、鳥居形を除く四山を見ることができます。

これは、毎年のことながら幸せなことだなと思います。

300年以上も続く、京都のお盆の行事。

お盆に迎えた先祖を、送り火の煙にのせて再び送る伝統的な行事です。

こういった伝統が、自分の肌に近いところで行われているという幸せ。

五山の送り火に限らず、京都というのは、その伝統文化が自分の生活するすぐそばにあることが最大の魅力です。


こういう感覚が、自分の身体感覚にあるかないかで、
人生の豊かさが大きく変わると思うのです。

情報量が劇的に増えた現代。

めまぐるしく変わり、消費される新しい情報を追うことには、
長い目で見ると意味がない時代とも言えるかもしれません。

そういう時代だからこそ、
人々が大切に守り抜いてきた文化や芸術に触れることが強さを持って来ると信じています。

「古都京都で芸術を学ぶ」

この意味がきっと、世界の中でも再認識される時代が、
もうすぐそこまで来ています。

そんな五山の送り火が終わると、京都では、

「あぁ、夏ももう終わりどすなぁ」

と浴衣姿のキレイな女性が果敢なげに口にする。

そういうところまで絵になりますね。

卒業生のみなさんも、「なぜ、学生時代に見ておかなかったのか」と卒業してから悔やむ方も多いようです。
卒業生のみなさんを対象にした企画も今後は準備していければと考えています。

執筆者
吉田 大作
京都造形芸術大学 事務局長

1年間に100本以上の講演依頼を受け、毎年国内外の2万人の高校生・大学生に講演を行う。
大学では、全13学科21コースの学生を対象とした『キャリアデザイン』の授業を担当。
日本で最も高校生や大学生に直接講演をしている大学関係者」と数えられる。
その過程で得られた国内外の教育の現状やキャリア指導の視点から、日本の教育環境に対して様々な問題解決の提言を行っている。
全国各地の高校から、「進路を検討する前に考えておくべきこと」「プレゼンテーションの鬼」「コミュニケーション」「問題解決ワークショップ」などの進路講演の依頼を受ける他、教員向けの研修、保護者向けの講演、なども多数行っている。

 

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